イタリアのレーベルから出すテクノトラックを制作しました

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イタリアのレーベルであるインダストリアル・テクノ・ユナイティッドから出すテクノトラックを制作した。

今回は制作期間が大変長くかかった。約3週間はやっていて、制作の途中で、終わらないのではないかと思うほど、毎日深夜まで作業が続いた。

最後の工程となるマスタリングは20時間以上かかった。

もうとにかく眠くなるまで続けるので、睡眠は深かったのか、健康的だった。

私は15時までは投資関係の仕事があるので、終わったらストレッチをして、シャワーを浴び、17時から19時まで作業して、夕食をとり、20時ぐらいから作業をしていた。

遅い時で午前3時まで作業していることも多かった。

1曲を何回も聴きながらレコーディングするのは建築に近いかもしれない。

少しずつ音を積み上げて構築している感じ、または油絵を描くように音を重ねる。

フレーズを考えながら、音色作りも同時に行う。

プロの場合(私もプロの端くれだが・・・)マニュピレイターがいて音色を作ってくれる。

YMOでいうと松武秀樹さんということになる。

教授は自分でプロフェットで音色を作っていたが、正直自分で音色を作らないとオリジナリティーが出せない。

理想の音が頭では鳴っているので、それを具現化するのは面白いことではあるが、その理想に向かっていく長いトンネルに入るような感じで、本当に出口はあるのだろうかと思うぐらい理想の音色は時間がかかる。

昔は音色よってシンセサイザーを選んでいたが、今は全てi Macの中に入っている。

理想のシンセサイザーだったプロフェット5も使えるので、この楽器がないからできないという、昔の言い訳は通用しなくなった。

よって良い音楽を作ることが前提になりハードルはかなり高くなったと思う。

今回リリースのコンセプトを考えてみると、とにかくインダストリアルテクノや、テクノに特化したレーベルなので非常に尖ったレコード会社から出す。

日本でいうと、創業当時のエイベックスのような感じだ。

クラブDJがプレイすることが前提にあるので、音響的にもしっかり低音が心地よいミックスを考えないといけなかった。

テクノはテクノロジーが作り出した音楽。

しかし機材が楽曲を作る訳ではない。基本クオリティーはクリエイターのアイデアによって様々となる。

そこで今回は制作段階で自分にルールを課した。

①4打ちのキック、リズムをループさせているリズムパターンを使わない

②ループを貼って楽曲を作らない

③シンセに搭載されているアルペジエイターを使わない

④シンセのプリセットで流行りの音を選択して使わない

このあたりを使えば、ある程度形にはなるが、この4つを使わないことを決めた。

これはポップスを作るときに、ギター、ピアノを入れないで曲を作ってくださいに近い。

ラーメンで言うならば、醤油を使わないで美味しいラーメンを作れという感じだ。

あえて簡単手軽から、苦労する方向を選んだ。

また、追加で自分に課題を課した。

①日本発のテクノであること

②クラブ向けに重低音のしっかりしたベース音色を作ること

③テクノですが、ライブで各パートが演奏できるアレンジにすること。

④演奏しごたえのあるフレーズを作ろこと

⑤アルペジオパート、リズムは全て打ち込みで譜面的に作ること。

実際のスコアーはこんな感じです。

⑥ハーモニーのあるアレンジにすること

⑦メロラインはオリエンタル感のあるラインにする。

初めの速いメロラインは、散歩しているときにアイデアが浮かんだ。

すぐ帰ってスタジオに入り、頭で鳴っているフレーズを仮リズムで手弾きで引いてみた、5分ぐらい弾き続けて使える部分を切り取りエディットしていった。

その日のうちに次の展開をパッドの音色を弾きながらアドリブで入れていった。サビのメロはアドリブで仮で入れて、聴きながら何回も弾いて仕上げていった。

構成は一晩で終わったが、そこからが問題だった。

メロラインがリズムにはまっていかないのだ。

ベースアレンジとメロの音色を変更した

メロの音色については、ひとつはパーカッシブなもの、2つ目はボトムを支える。感覚的にいうと少しツヤのあるベース。

アタックのあるものは基本FM系の音源をつかった。

メインメロの音色は頭でイメージしていたのはスピード感があり突き抜ける音だったが、プリセット系の音では理想の音にならなかったので4つの音色を同時にならすことによって、イメージに近づけた。

一般のテクノはあまりソロ的なパートは少ない。

今回はソロをサビに入れようと考えた。

音色はアープ2600を使用した。

なめらかでかつ、ソリッドな音が出せるのが特色で、アドリブで数回弾いて、ベストテイクを選んでいった。

リズムについてはループを使わないルールなので、全て打ち込みで対応。

実際にドラムでも叩けるようなアレンジにした。

トラックが出来上がり、マスタリングがスタート。

曲を作り始めた当時はこの作業はなかった。

実際音圧を上げる機材もなかったし、マスタリングと言う言葉自体知らなかった。

実際にマスタリングで全く曲の雰囲気も変わる。

マスタリングは基礎はあるものの正解がない。ゆえにバリエイションが無限に出来てしまう。

今回は8タイプを作って、ベストを選んだ。土日は朝7時に起きて、スタジオに入り夕方までを2日やっても終わらなかった。

私はコンプレッサーとリミッターの組み合わせで行っている。

マスタリングして、終わればバウンスしてWAVファイルに入れ、サウンドクラウドに入れ、プライベートモードにする。

サウンドクラウドは一番高いグレードで行っており、年間2万ぐらいするが、メリットは時間無制限に行うことができる。

これで完全にテープレス、メディア、ハードディスク保存もいらないので、大変便利だ。

サウンドクラウドに入れて、まずチェックするのはiPhoneで鳴らしてみる。

携帯で再生してもしっかりとしたサウンドになっているか確認し、音がクリアーに聞こえるをみる。

次にSONYの有機EL TVで再生する。

このTVはTV画面から音が鳴る仕組みでアコースティックサーフェスと言う技術が入っている、従って重低音がしっかりしている。

携帯、TVでしっかり鳴れば仕上がりとなるが、奥行き感なかったり、音が詰まった感じになったりと課題が出たが、9テイク目でやっと納得できるMIXができた。

最後にタイトルを考えた。これが一番楽しい時間。

基本ノートにコンセプトメモを書きながらイメージを広げていく

今回はアンリ・ミショーの詩からインスピレーションをもらい、THIN CYLINDERに決定ロゴ的にいいので決めました。

ジャケットはレーベルがデザインしてくれるので、イメージだけ提示するために下記のイメージで提示しました。絵的には宇宙コロニーのようなイメージがありました。

実際のジャケットはこちらです。

こうして完成したTHIN CYLINDERですが、再生数が1543再生となり、レーベルのTOP Tracksに入りました。

時間がかかった分はいいものができたと思います。よろしければ聞いてください。

ダウンロードはこちらです。

 

 

 

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