[追悼 坂本龍一教授] アルバム async 第二回

音楽

いつも読んで頂きましてありがとうございます。

前回に引き続き教授のアルバムasyncの中身に迫ります。

前回も書きましたが、全体的に明るいというわけではないですが、教授なりの音の彩りが楽しめると思います。

特にこのアルバムのレコード版(LP)はなかなか手に入らないようです。メルカリでも12,000円で売れていました。確かにこのアルバムはレコードでじっくり聴くのが合っていると思います。

針を落として聴くという行為がこのアルバムには必要とさえ思えてきます。

それでは曲の解説をいたします。

1 andata

教授らしい優しいピアノからスタート。映画音楽のオープニングのようですが、後からパイプオルガン系の音色に変化し、そこにSEやノイズが入っていく。

バロックにも聞こえるが、重なった音はレスリースピーカーを通したようにも聞こえ、非常にカッコイイです。

andataの意味は出発、旅行の意味。片道という意味もあります。ここでは出発なのでしょうか?

 

2 disintegration

勝手な思い込みですが、B-2UNITのディファレンシアを思い出しました。

ピアノの内部を使っていると思われる響きとノイズが非常に音楽的で覚醒される感じがします。

ドラムのようにも聞こえ、メロラインにも聞こえる、ミックスもいいです。

最初に聞いた時は何?これ?と思いましたが、聞けば聴くほどこの音世界が好きになります。

disintegrationの意味は分解、崩壊です。バラバラになっているパーツを組み合わせた音楽。同期していない音から構築される音楽です。

 

3   solari

主旋律とその上を奏でるウラメロ的アレンジが楽しめる1曲。シンセはプロフェットでしょう。少し古いレトロな感じで優しい音色がなんとも言えません。何かSF映画っぽい音像です。アメリカのSF映画のソラリスから来ているのでしょうか?惑星の名前?異空間な雰囲気があります。

 

4.  ZURE

初めの響くブラスはプロフェット5ですね。

最後まで聴いて、思ったことは、再生YMOのテクノドンでのノスタルジアが頭に浮かびました。

音響のズレを感じながら、被災したピアノをミックスし、楽曲として成立させている。

サンプリングセンスはさすがなところ。ミュージックコンクレートとアートと音楽のギリギリの線をついてきています。

初めは単調なのかと思うかもしれませんが、タイトルにもあるように音のズレの中に世界観が浮き出てきます。好きな曲です。

 

5.  walker

この曲をいかに解釈して聴くかはかなり個人的な判断になるとおもいます。

一見暗く、不穏な感じと思いますが、何回も聴くと、足音のサンプリングで教授が歩き、感じることの日記のようにも感じられます。

教授の思考するエネルギーのようにも感じさせ、テクノデリックの精神で聴くとpopに聴こてる、魅力の曲です。

indistination もいいし、ずっと聴いていたい感覚です。

 

6.   stakra

教授曰く、80年代っぽいと表現するこの曲。混沌としたイメージが感じさせられます。

個人的にはピアノバージョンも聞いてみたいですが、村上龍の小説も合うかもしれません。

往復書簡を教授と村上氏で送っていた頃を思い出します。

マニアックな視点ですが、プロフェット5とプロフェット6の共演ということで、シンセが好きな方はこの聴き方もいいと思います。

プロフェット5(昔の機材なので、若干ピッチがずれた音がして、そこがいい倍音となり独特な音が作れます、教授はプロフェットの名士です)

プロフェット6(現代版)音はプロフェット5に近い。何かしっかりしすぎた音がでるので、クリアーでいいとは思いますが、やはりプロフェット5はザラッとした何か靄がある音にはなりやすいと思います。

この2台が混ざることによって、できる音世界は聞き応えがあります。

stakraはアイスランド語で独身という意味ですね。

 

7.   ubi

これぞ教授というピアノフレイズがゆっくり奏でられる。一定でなない高音の音色はなんだろうかと考えてみた。憶測にすぎないが、asyncの同期しないということなのか?

やはりエレクトリックサウンドの表現として使ったのか?単なる好みなのか?

最後にSEが流れるところを見るとやはりasyncのコンセプトなのだと思う。非同期でも美しい音楽は変わらないと表現したかったのだと思います。

教授のアルバムは最新作は12ですが、12は音楽日記のような内容です。

しっかり教授の自宅レコーディングシステムで構成されたアルバムはasyncが最後になってしまいました。さまざまな音をフィルドワークし、記録させ、その環境音も音楽として使う。同期していないが、楽器と環境音のハーモニーを探っていくのも、このアルバムの魅力だと思います。

これからも、大切に聴きます。

今回はここまでです。次回は8曲目から迫っていこうと思います。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

 

 

 

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